2020-73 TU
COVID19騒動に伴って、映画館が工夫してやりくりしてくださった旧作上映の企画も、新作が出揃ってきたおかげでそろそろ終わりになってきました。ジブリはお客さんが入っているのでまだ続きそう。
ダークナイトが4DXになって上映されていたので鑑賞して来ました。
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アマゾンプライムビデオで見られます
ダークナイト (字幕版)
ダークナイト (吹替版)
本作公開当時 「バットマン」の映画では、ティム・バートン版(1989)が決定版である。と思っていました。当時、アメコミに関する知識など全くなく、今にして思えば、何偉そうなことを言ってたんだ!という感じですが。
バートン版の当時は、けっこうハマってしまい、高価で数を揃えられなかったレーザーディスクのコレクションの中にも入っていました。
この映画のヒットが、その後アメコミ映画隆盛の源流のひとつとなったことは間違いないと思います。
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こちらもアマゾンプライムビデオで観られます。いい時代ですね。
そんなわけで、本作「ダークナイト」は公開時に未鑑賞でした。その後、あちらこちらでの評判がやけに高いことを聞き、遅ればせながらレンタルで視聴したのでした。評価通りとてもおもしろかったです。
本作が遺作となってしまったヒース・レジャーのジョーカーは、評判に違わぬキレっぷりで、ジャック・ニコルソンとは全く違いながらも、それに迫る迫力でした。
「全人類を悪に染めてやる」という鉄の意志が、敵役ながら清々しい。確かに主役はこっちですね。話すたびにピチャピチャするリップノイズや、べたついた髪をいちいちなで付ける仕草など、いちいちヤな感じが素晴しい。また何と言っても、あのザツなクラウンメイク素晴しい。
昨年大ヒットのホアキン・フェニックス版ジョーカーのビジュアルにも少なからず影響を与えていると思います。
肝心のお話のほうはノーラン監督らしく、重層的でややこしく展開していきます。ソフトで何度か観ていてストーリーは大体おさえているつもりでも、ちょっと気をぬくと、ジョーカーの仕掛けに追いつけなくなってしまいそうになってしまいそうでした。
「人間の本質は悪である」の考えのもと悪を為すことそのものを目的とするジョーカーの行動について劇中登場人物と同じく、観客である我々も考えさせられてしまう。のは監督の思惑通りなのでしょうか。
バットマンシリーズには、この他に ジョエル・シューマッカー版の 2作もあります。ノーラン版やバートン版に比べると、より娯楽方向に振った作りで、コレはコレでおもしろい作品群でした。
ジム・キャリーやアーノルド・シュワルツェネッガーのヴィランぶりも楽しかったです。
「ミスター・フリーズの逆襲」は、残念ながらラジー賞を受賞してしまいました。
アマゾン プライムビデオ
バットマン フォーエヴァー [Blu-ray]
2020-68 TU
劇場鑑賞
ウェルズ原案の「透明人間」は何度となく映画化されていますが、共通点は透明人間化するのがマッドサイエンティストであること、透明人間化することで彼らはキレっぷりに拍車がかかるくらいで、ストーリーはまちまち。
たぶん最初の映画化はこちら、包帯とサングラスというのも今に続くイメージアイコンですね。アマゾンプライム会員であれば特典視聴可能です(2020/7現在)
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https://cinema.pia.co.jp/title/10045/
最近の映画化では、ポール・バーホーベン監督作「インヴィジブル」がありますが、バーホーベンらしいエロと気持ち悪さ、外連味たっぷりの傑作でした。ケヴィン・ベーコン、エリザベス・シューらの出演陣も私好みで、大好きです。
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さて、本作です。今回透明人間化するのは、サイエンティストというよりはエンジニアという感じの人であるところが今っぽい。 ストーリーも、おそらくDVに耐えきれず逃げ出した嫁さんを、透明人間化してストーカーよろしく追い回す。というあたりも今っぽい。DVストーカーというモチーフ自体は昔からあるにはありますが。
本作の一番秀逸なところは、やっぱりラストでしょうか?ハリウッドのでは、それまで斬新なアイデアで話を進めても、ラストでドタバタグズグズになってしまい、無理矢理大団円。という作品が多い中、本作は最後のさいごまで頭良く終わってくれました。しかも鑑賞後の観客にあれこれ考える余地もくれる、サービス満点です。
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監督された リー・ワネルさんという方は知らなかったのですが、「SAW」シリーズの主要スタッフと出演をされていた方なのですね。1作目はDVDでしたが鑑賞したことあり、とても面白かった。
確かに本作と「SAW」シリーズ(1作目しか見てませんが)は、通じるところありそうですね。
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https://cinema.pia.co.jp/title/10774/
映画と直接関係はありませんが、奇しくもこんなニュースがありました。
透明人間がフィクションの中だけで語られる時代も、近く終わる時代がうるかもしれませんね。
2020-65 UH
劇場で鑑賞
「テレビ局が、自分自身の自画像を撮影する」というようなスタンスで始まるが、実は「ドキュメンタリー」という手法の本質的に持っている問題につての問いを投げつけて終わる。ラストの数ショットを見て、「もしや本作は『アレ』ではないか?」という疑いを持ったが、ネット記事での監督土方氏へのインタビューを見る限り違うらしい。
自分対して情報リテラシーを試されている感じがして、ラスト数分間少し恥ずかしくなった。
もう一回見る必要がありそう。
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https://cinema.pia.co.jp/title/183323/
2020-64 TU
何もいうことはない、宮崎駿の傑作です。
封切の時は中学生でしたが、少ない小遣いをはたいて見に行きました。その後なにかの映画祭で劇場鑑賞する機会がありましたが、また観られるとは。
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ジブリのソフトって、今はディズニーが販売しているのね、初めて知った。そう言えば確か「もののけ姫」はディズニー配給だったかしら?
公開当時まだスタジオジブリは無かったはずですが、ジブリのロゴがクレジットされている。二馬力はジブリに吸収されたらしいので、そういうことかとも思いますが、ジブリで再編集とかされているのでしょうか。
今改めて鑑賞して、本作のメッセージに対して青臭さのようなものを感じてしまうのは、自分が歳をとってしまったからでしょうか。普遍的なテーマをストレートにぶつけてくるところは今見てもなお素晴しいと思う。
その後しばらく続く宮﨑駿のヒロインコンプレックスとでもいうようなものも、改めてここが頂点だったなということもわかった。
宮崎氏の作品史、またアニメーション映画の歴史にとって、重要な記念碑であることが確認できました。
2020-63 UH
劇場鑑賞
ベルギーの名匠ダルデンヌ兄弟の新作を劇場で鑑賞。
新作が公開されていたことを知らなかったのですが。行きつけの劇場チラシで初めて知り、慌てて鑑賞しました。この作品もカンヌで賞を取ったみたい、最近はめっきりメディアに触れなくなってきてしまったので、こういう情報も逃してしまいそうになる。
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大好きな作家ですが、最近は「サンドラの週末」や「午後8時の訪問者」など、わりと普通の路線??に寄せてきた作品が多かったのですが、これらはこれらでドラマとしてとても素晴しいものだったと思っていました。
今作では再び兄弟の本領発揮というような作りになっていた。つかず離れず、突き放したようで寄り添っていそうな、BGMもない静かなドラマの中でなんとも言えない緊張感を保ち続けるあたりが、鑑賞しながらダルデンヌ節を満喫できました。もはや彼らのシグニチャと言えるようなラストも、彼の魂は救われたようでもあり、その後悲劇が待ち受けているようでもありで、鑑賞後のモヤモヤ感も彼ららしい。
本作には宗教が大きな位置を占めているが、ある宗教の善悪を説いているわけではないものの、取り上げている問題についてはなんとも言いがたいところがある。
他者を否定し、暴力により排除しようと試みることは、帰属する社会や宗教に関係なく悪である。ということだけは事実であろうと思う。
ダルデンヌ兄弟のオススメ作
ある子供
2020−62 TU
サイモン・ペッグ エドガー・ライト ニック・フロスト トリオの傑作コメディ?を劇場鑑賞できました。例によって COVID19騒ぎの影響による、劇場の工夫と配慮の賜物だと思うのですが、ほんとに劇場には感謝です。
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https://cinema.pia.co.jp/title/18604/
サイモン・ペッグは「ミッション・インポッシブル」シリーズでトム・クルーズの彼氏役、エドガー・ライトは「ベイビー・ドライバー」のヒットで、日本ではそれぞれ別に認知されるようになったと思いますが、ニック・フロストを交えた3人で飛ばした数々のスマッシュヒット作はみんな面白いので、まだ未見の方は要チェックです。
本作の前に製作した、「ショーン・オブ・ザ・デッド」は、劇場未公開でしたが、なんと昨年4月に劇場公開されるという奇跡が起きました。経緯は知りませんが劇場鑑賞できた幸運にこちらもまた感謝です。
コメディは製作された国によって笑いのツボが全く違うものですが、イギリスのそれは、やはり日本ともアメリカとも違うところにあるところが興味深いです。人によっては「コメディなの?」と感じてしまう人もいるかもしれません。でも、そこを抜きにしても、十分楽しめます。
ぴあ映画生活
https://cinema.pia.co.jp/title/179491/
また、本作「HOT FUZ」後に、サイモン・ペッグとニック・フロストのペアがアメリカに渡り主演・脚本を務めた「宇宙人ポール」も、大傑作です。アメリカから参加の セス・ローゲン が最高のお下品ぶりを加えて、また違う次元に到達しています。
ぴあ映画生活
2020-61 UH
ドキュメンタリーは、真実を写す。画面に映らない部分には想像の余地があるものの、すくなくとも画面に映ったものは本当のこと。
戦争の圧倒的な不条理を突きつけられる。
大人の事情は正直色々あるだろうが、ここで記録されていた為す術もなく巻き込まれる子供達の悲劇は紛れもなく本物。それに対して何もできない自分に苛立ちを覚える。
ぴあ映画生活
2020−60 TU
まさかのランボー!
映画館で予告を見たときは、目を疑った。
1作目でメンタル破壊され、2作目3作目では、自分を壊したアメリカのために戦う悲劇を経験し、4作目では完全に突き抜けて殺人マシンとなった挙句、アリゾナの自宅へ帰って大団円??と思っていたらの続編です。ロッキーの続編も大成功したスタローンとしては、いっちょこっちもというところでしょうか?
ぴあ映画生活
アメリカの国旗を背負わされた2作目3作目とは違い、本作は私的な動機と、これまでの大活躍??によるトラウマに悩まされづづけるランボーの姿など、タイトル通り1作目と対になっており、直接の続編
と言える作りになっていると思います。
本作観る前に、第1作の FIRST BLOOD はチェックしておいたほうがいいかも。
傑作です。
つい先日亡くなってしまったブライアン・デネヒーも保安官役でいい役をされていますね。
アクションとしては、4作目 最後の戦場 で殺人マシーンと化してしまったランボー を引き継いでいます。
本作の話に戻って、クライマックスの戦闘は、絶対楽しんでるでしょ! 一応は相応の悲劇と喪失も劇中経験してはいるので、我慢した怒りが爆発したといいたいんでしょうけれど、んですけれど。帰国後数年間封印してきた欲求不満を発散しているとしか見えない。
痛快です。といってしまっていいのかわからない。けどオススメ。
2020-59 TU
劇場鑑賞
これはもう、主演の長澤まさみ、阿部サダヲのための映画といっていいでしょう。
お二人とも最高です。阿部サダヲ安定のクズ演技っぷりはもう期待通りですが、何と言ってもこの映画のセールスポイントであるとは言え、長澤まさみ演じる秋子のビッチっぷりが最高。男に逃げられたすぐ後に、間髪入れず次の男をオトす過程は、特にセリフもなく微妙に間合いを取りながら目線を迷わせ、ジリジリ迫るあたり、格闘技を見ているような緊迫感がすごい。
ラストショットの表情は、背筋がゾッとした。
最高の長澤映画でした。
ウイルス騒ぎのせいか、奇しくも公開が重なってしまった「コンフィデンスマン」と対極にありそう。と思われる。こちらもちょっと見てみたくなった。
ぴあ映画生活
https://cinema.pia.co.jp/title/184367/
オススメ長澤映画
・アイアムアヒーロー
日本製 傑作ゾンビ映画
・散歩する侵略者
黒沢清 SFホラー
・海街diary
2020-58
TU
舞台は1987年、ということで物語は ペットショップボーイズの「It's aSin」で始まる。私はどストライクの世代なので、いきなりアがってしまった。
「俺のやることなすこと全部ダメって言われちゃうんだよお」という歌詞は、主人公ジャベドの立場に対するメタファーでもあるかと思うが、物語が進むにつれ、ジャベドが入れ込むスプリングスティーンの音楽性と対立する80年代ポップミュージックの一翼を担うものとして解釈されたような気がして少し残念な気がした。
実際、この物語の後数後には、レニー・クラヴィッツやストーンローゼズなどにより、ガレージ感の強い音楽が台頭し、ニルヴァーナなどグランジの登場でより内省的なっていき、80年代的なキラキラしたポップミュージックは、一時的に衰退して「ちょっとダサい」ものになっていく。
というような、本作の主題とは全く違うところで感慨深くなってしまった。
https://cinema.pia.co.jp/title/177675/
it's a Sin はこちらのアルバムに収録されています。
本作のサントラ版でも邦題「悲しみの天使」として収録されています。