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行き止まりの世界に生まれて

2020-102 UH

 劇場観賞

ぴあ映画生活
https://cinema.pia.co.jp/title/185186/

 ほぼ予備知識なしで鑑賞。鑑賞後に手にしたチラシにもあったが、非常にエモいドキュメンタリーだった。序盤はフェイクドキュメンタリーかと思った。

 米イリノイ州ロックフォードに住む3人のスケーター青年の人生数年間を切り取った作品。白人で、作品中に人生の色々なステージを経験するザック、黒人で3人の中でも一番スケボーに打ち込んでいるキア、本作の監督で自らもスケーターである東洋系のビン。3人ともキツイ家庭環境から逃れるためにスケートボードに打ち込み、それぞれに生き抜いていく。
 
 父親から受けた仕打ちを新しく持った自分の家族に繰り返してしまう自分を受け入れられず、苦しむ姿。暴力的な継父と再婚した母親との対話。それぞれの生々しい人生を追って映画は進んでいく。
 3人とも、辛い環境にもがき苦しみながらも、最後はそれぞれに希望を持って終わっているところが救われた。

 しばらく前からデトロイトなどをはじめ、アメリカの工業地帯の悲惨さは、フィクション、ニュースなど様々なメディアで伝えられてきたが、本作ではその当事者目線で捉えられていた。

 スケートボードシーンの撮影がダイナミックで素晴らしかった。かなりのスピードで滑走している被写体にほとんど0の距離まで迫ろうかという画面は迫力に満ちていて、最初フェイクドキュメンタリー?と疑ってしまうほどだった。監督のビンが、スケボーと映画撮影に打ち込んだ成果なのだろう。

 きつい環境から逃れるために打ち込んだ音楽や、本作のようにスケートボード、映像制作などが花開いて新しい文化を形成していく場面に、私たちは映画や音楽を観賞することで立ち会うことができるのだが、私たちがこのような素晴らしい作品に出会えるのは、彼らの苦痛を経験したからこそというのも皮肉と思う。
 
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