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SNS 少女たちの10日間



 鑑賞中ずっと気持ち悪い思いが続く。その対象は少女たちに群がっていく男たちだけでなく、自分に対しても「お前はどうよ?」と問いかけてみる。

 その嗜好は別にして、美しいと感じる容貌を持つ異性、人によっては同性に対して何らかの感情を持つことは当然のことだと思う。その感情に些細であれ邪なものが含まれていたとしても、それは仕方のないことではないか?
 ただ、自分を含め多くの人はその感情を理性で内面にとどめておくことができている。普遍的な、あるいは生まれた時代や地域に応じた教育と倫理観によって自然と封じ込めることができ、反対にそういったことができない人々に対して嫌悪という感情まで抱くことができるまでになっている。と信じたい。

 本作では企画意図をもとに、美しく異性の興味を引きやすい外観をもつ俳優が配されている。観客である自分も彼らの外観に興味をもって、あれこれ考えてしまう。あの子とこの子ではどちらがきれい、とか好みに近いとか。

 いざ、罠であるSNSが開設され、そこに群がってくる男たちに嫌悪を感じつつ、さっきまで自分が何を考えていたかを思い出し、彼らの中の一部に自分自身が透けて見えてしまう。この時が、この作品を鑑賞する中で最悪に気持ち悪い瞬間だった。

 本作はチェコの現状が対象となっているが、日本ではどうか?

 本作で示された東欧よりも良い状況であれと願いたいが、ご存じ我が国はロリコン文化の発信源である。アメリカでは「HENTAI」という単語が一般的に通用するようだ。法令的にも未成年に対する保護は欧米に比べ不十分だとの意見を耳にした記憶もある。想像するとちょっとゾッとする。

本作の意図について思ったこと

 自国の、特に未成年に対する性犯罪の実態、SNSをはじめとするネット文化の危うさをつまびらかにして、社会に貢献することが本作の意図としてあるのは十分理解しているが、鑑賞中奇妙な違和感というか、必要以上のバイアスのようなものを感じた。
 未成年に対する性犯罪が悪である。との客観的な前提がまず初めにあるところは当然理解できる。しかし、製作者による嫌悪や憎しみなどが必要以上に映像へ反映されてしまうのはどうかと思う。
 SNSに現れるほとんどの人物は、顔にぼかし加工がされているが、顔のある部分ははっきり見えるようになっている。
 これがものすごく気持ち悪い。彼らのしている行為は最悪に気持ちの悪いことなのは間違いないが、この顔加工によってさらに気持ち悪さを加速させ、観客の嫌悪感を誘導するのでは?。ドキュメンタリーとしての客観性を失いかねないのではと思えた。製作陣の意図もわからないではないが。

 中盤に登場する「普通の人」、流れにのってうっかりしんみりしてしまったが、すぐに「普通じゃないよね」と正気を取り戻せた。映像中でも、会話の当事者である未成年者役の俳優もスタッフも涙していた。「こんな異常な状況では普通の人に会えただけで感激」と言っていた。確かに落差を考えるとエモくなるのもわかるが、ちょっと考えれば、こんなSNSに接触してくる彼はヤバいヤツでしょう!と観客は印象つけられてしまうのではないか。
 一応ナレーションで、「その後十分検証した結果」とあるので本当に普通の人なのかもしれないが、そうだとすると、本作で顔まで晒されて、変な印象をつけられてしまった彼の今後が心配。

 もう一つ心配

 SNSをスタートするにあたり、主に安全を確保するためと思うがいくつかルールが定められた。
 それらの中でひとつ。

 「しつこく求められるまで裸の写真は掲載しない」

 ちょっとびっくりした。写真出すんだ。

 作中でカラクリが明かされるが、正直それにしてもねえというのが正直な感想。俳優さんたちの将来に影響が出ないか心配。 

まとめ 

 あれこれいったが、本作は手法に賛否あると思うが鑑賞後考えることが多く、観るべき作品。特に男性は、登場する最悪の男たちの中に自分自身を見つけてうちのめされてください。


 スカイプ着信音 : ちょっとトラウマ
 




 予告編 監督メッセージ  : ちょっと笑えないんですけど
 









 


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