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エネミー・ライン

 エネーミー・ライン(FUJI TV 21:00)

 劇場公開時には、新感覚ミリタリーアクションとかいうふれこみと、主演したオーウェン・ウィルソンへの注目ぶりが気にはなっていた作品です。

 軽はずみな戦闘機乗りが余計なことをして進路を外れたうえ、たまたま撮影した写真のせいで撃墜され、仲間が死んでしまう大騒ぎを演じたあげく持ち帰った写真にたまたま敵の重要な情報が写されていたのでめでたしめでたしという、何ともおめでたいお話でした。
 劇中NATO司令官が敵制空圏への侵犯厳禁をジーン・ハックマン演じる米軍艦長に命じているのですが、あっさり禁忌を破ってしまう米軍に明らかな問題があります。最後に救出された主人公が退役願いを撤回するあたりにも、反省の色がみられません。観ている方は「おまえなんかクビになってしまえぇ」という気分なんですけど...

 いっぽうフイルムの方ですが、いま風のおしゃれぽい画像エフェクトも多用されている反面、追手の集中銃火を浴びて銃弾が擦りもしない主人公やなど、いまや古典的な演出もあったりしてこれぞ伝統のハリウッド。逃亡劇の緊張感はありません。追手となる傭兵のヘタレぶりも微笑ましくて見どころのひとつです。

 描かれているセルビアの兵士は古くさいステレオタイプに基づいてまるでナチスのようであるのに、のんきで間抜けな米軍が結果オーライでヒーローになる。アメリカ万歳、こんな映画を世界に配信しているようでは、アメリカが世界から嫌われているのも理解できます。
 何となく「いま風のオシャレな戦争映画でも作ってみる?」という感じで企画され、タイムリーな紛争をネタにしたテキトウな脚本を書かせ、かっこいい戦闘機と新しい画像エフェクトをテキトウに盛り込んで完成した映画なのでしょう。でも、こんな作品で敵役にされたヨーロッパの人たちには、たまったものではありません。
 そういえば当時「ロイヤル・テネンバウムス」(これもハックマンと共演でしたね)などでも注目された主演のオーウェン・ウィルソンですが、最近とんと名前を聞きませんね。

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